So

雨の日は会えない、晴れた日は君を想うのSoのレビュー・感想・評価

3.2
「ボーッと生きてんじゃねーよ!」
最近どこかでよく聞くお叱りのフレーズが浮かんできます。
卓球ラケットが赤と黒なのはなんで?くらいなら無視するとして、それが夫婦の間のなんで?ならばボーッと生きてスルーしてきてしまったツケは大きいはず。

ストーリーは、愛すべきだった人を愛していなかったかもしれない恐怖から破壊衝動へと突っ走り、思いの丈を記した手紙の先に救いを求めて彷徨う主人公デイヴィスの心情を軸に進みます。

この映画は観客にそのテーマをかなりのウェイトで委ねているのではっきりとした答えを示してくれませんが、すべては彼の葛藤心情が生んだイメージ映像だと思うとわりとすんなり話を追っていけるように感じました。

壊さなかったメリーゴーランドは、デイヴィスの夢見た幻想。掛け違えたボタンのように愛を見失い、その末に取り返せない事実と直面した時、微かに匂い立つ「確かに愛していた」記憶に悔やみながら思い出にすがる。

とくとくと過ぎていく時間の中でないがしろにしていることはないか。
日常の瑣末な出来事にこそ大きなリスクがあるかもしれない。
安定した暮らしにあぐらをかいている中で何か不吉なことが実は忍び寄っているかもしれない、いや、もはや忍び切られた後かもしれない。そんな焦燥感をじわじわと駆り立てられる映画でした。
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