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雨の日は会えない、晴れた日は君を想うのlinktakのレビュー・感想・評価

3.6
1人の男の心の再生の物語。
この映画はストーリーがどうこうよりもどういう風に話を解釈するかが面白いのかも。ということで、ネタバレも含みますが自分の解釈を。

どことなく単調さを感じながらも、安定した生活を送っていた主人公に突如訪れた妻の死によって彼の心にぽっかりと穴が空く。単調な生活の中で妻のことをきちんと考えてこなかった彼は妻の死を上手く自分の中で咀嚼できず心の曇りは晴れない日々が続く。そんな中で彼は物を破壊し中身の全容を明らかにし不明な部分を無くすことで一瞬心の曇りが晴れるような快感を得る。彼の破壊衝動は高まっていくが、肝心の妻という存在と向き合わない限り根本的に解決されるわけではない。
次第に物語が続くにつれて妻の本当の姿、事故のことを知り彼の心の穴は埋まっていく。最後にはもう破壊に頼る必要もなくなり、かけっこで1番を取ることだけが悩みだった少年時代のような純粋な気持ちでまた人生を始める。
全然違う気もするけど自分はこういう風に感じたな。

最後子供たちと走りながら終わるシーンはある種の伏線回収になっていて、よくあるパターンなのかもしれないけどきれいなまとめ方だなと感じた。
あと、主人公が反対していた奨学金が失敗(不完全)だったことは彼が妻の一番の理解者だったことの暗示だったのかな。それを彼は気付いていなかったと思うけど。
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