このレビューはネタバレを含みます
単なるラブストーリーではない、生と死について考えさせられる1本。
冒頭シーン、朝の柔らかな光の中、幸せそうにまどろむ1組のカップル。エリートサラリーマンのウィル･トレイナーは彼女アリシアとの別れを惜しみながら雨の中を出勤するが、やってきたバイクに撥ねられる･･。
シーンは変わり、カフェで働くルイーザ･クラークが映し出される。天真爛漫さがこのワンシーンで表現されている。彼女はこの日、6年勤めたカフェが閉店することになり職を失った。父親が失業中で妹がシングルマザーということもありすぐにでも職を探さねばならないのだ･･。
紹介されたのは、お城での6ヶ月限定の介護の仕事。介護することになったのはバイク事故にあったウィル･トレーナーだった。彼は先述の事故で重度の脊髄損傷を負い四肢麻痺となっていたのだ。
周囲に心を開こうとしないウィルに対し、ルイーザは持ち前の明るさで根気強く接してゆく。そんなある日、ウィルの介護が6ヶ月限定である真の理由をしってしまう･･。それでも献身的に支え、生きる希望を見出してもらおうとするルイーザ。やがてウィルはそんなルイーザの姿に心を打たれて心を開き、いつしかお互い惹かれあうようになってゆく･･。
いつもちぐはぐな色柄の服装のルイーザが、洗練された女性へと変化していくのも観ていて楽しい。特にポスターにもなっている赤いドレスを身にまとったルイーザが、ウィルと車椅子でダンスを踊るシーンは印象的。
本作、ルイーザとの出会いでウィルは生きる希望を手に入れ2人は末永く幸せに暮らしました。という王道なラストシーンは待っていません。
本当にルイーザのことを想うのであれば、お金ではなくウィルが生き続けることでルイーザの未来に寄り添っていて欲しかった。もしくは、はじめから決断を変える気がないのであれば、ルイーザと恋仲になってはいけないと思います。
残されたルイーザはこの経験がトラウマになり、この先恋愛はできなくなってしまうと思うのです。
こんな言い方は良くないかも知れないけれど、逝く側はなんて自分勝手なんだろうと思わざるを得なかった･･。
