デ・パルマ×アルパチーノと言えば私の周りだとスカーフェイスがあまりにも有名だけどもデ・パルマ100%なのはどちらかと言えばこちらのカリートの道。最近はかなり控えめになった凝りに凝ったカメラワークが本作では最初から終盤まで惜しみなく詰まっている。なんでもないようなシーンさえもが妙に印象に残るのがまさにデ・パルマの映画。
伝説のプエルトリコ系ドラッグディーラーがムショ帰りを機に堅気へ戻るために金を稼ごうとする。アルパチーノがプエルトリカンに全く見えないのはともかくこのアルパチーノの役、黒のロングコートを着たカリートはともかく元大物感が半端なく、チンピラであるにも関わらず落ち着き払っていて渋い。激渋である。こんな男が893映画顔負けの不器用で義理堅さを見せるのだからもう兄貴と呼ばざるをえない。堅気に戻ろうとする彼が友情、義理、仁義、愛情の狭間で揺れる人間ドラマなのだ。
名優ショーンペンがカリートの友人の悪徳弁護士役できっちり脇を固めるているのだけど、ショーンペンが最初全くショーンペンに見えないほど役にのめり込んでいるのも魅力の1つ。
見所はもちろん終盤30分に渡る地獄の追いかけっこ!最高。