鹿江光

ブルー・リベンジの鹿江光のレビュー・感想・評価

ブルー・リベンジ(2013年製作の映画)
3.0
≪60点≫:出口を探し求める。
復讐劇ではあるが、本作は敵討ちを主軸とする物語ではない。生きる理由の全てであった復讐を終えた人間が、終わりを見失い、必死に出口を探し求める悲哀の物語である。
まさにタイトル通り、全体的にブルー色を配置しているから、爽快感もなく、どこか冷静に物事の展開を見つめることができる。主人公も復讐ヒャッホーな万能ヒーローではなく、ただ弱いだけの――やることが裏目に出る負い目の塊だから、いまひとつ感情移入ができない。
ひたすらに憂鬱で空虚で、冒頭からほとんど台詞のない復讐シーンは、始めから哀しさが訪れる。それでも目的を失った人間の表情が薄れていく描写は圧巻である。終わり方を探すラストも、実に簡単であっけなくて良い。
欲を言えば、冒頭のヒゲ面のまま最後までいってほしかった。これでエンドロールで北欧のポストロックとかが流れていたら、完璧だったのになぁ……。
鹿江光

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