尿道流れ者

堕靡泥の星 美少女狩りの尿道流れ者のレビュー・感想・評価

堕靡泥の星 美少女狩り(1979年製作の映画)
3.8
SMロマンポルノの名作。夫の目の前で強盗犯にレイプされ、妊娠した母から産まれた主人公。小さい頃から父には煙たがれており、頼みの母も父に折檻を受け、尊厳を奪われて身も体もボロボロになっていた。母が自殺した後に、父が記した母とのSM日記を見つけ、そこで自らの出自を知るとともに、サディスティックな願望を持つようになる。

自らの加虐願望を強盗犯である父ゆずりのものとしてとらえている主人公だが、その加虐性は育ての父が母にとっていた姿の生き写しでもある。そして、そんな育ての父も妻を目の前でレイプされたことによって加虐性を開花させている。一人の男によって狂った血の繋がらない親子の悲劇的な運命はとても悲しく切ない。

主人公は父の死後、一人館に住み、さらってきた女を地下室で陵辱する。SMシーンは多彩で肉体的なものから精神的なものまであらゆる形の責めがあり、飽きさせない。縛られて吊るされる女の姿は美しく、布を引き裂く音やパンツ越しの放尿などこだわりがあって良い。
ラストの悲しさと恐ろしさは壮絶で逃れられない因果が映し出されている。

黒田清輝の時代から芸術かポルノかという問題は大きくその作品の評価を変えるが、芸術であることは高尚だとしても、芸術であることから失うものもある。対象を表現により昇華させていく芸術では、この映画の持つ陰を描ききることはできない。描く対象によっては芸術よりもポルノの方が適切で、そこに格差はない。芸術かポルノかという問題で、きっぱりとポルノを選び表現した潔さがロマンポルノの醍醐味だと思う。