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ギヴァー 記憶を注ぐ者のgaitaのレビュー・感想・評価

ギヴァー 記憶を注ぐ者(2014年製作の映画)
4.5
気づきの多い作品。

争いを無くすため『差異』の排除を徹底的に目指した世界。人々は過去の記憶を持たず、毎朝の投薬で自分の感情を抑制される。

そもそもこの世界には『感情』という言葉が存在しない。争いを無くすため、差異が生まれるようなものは排除されてしまったのだ。

差異を無くすために排除されたものは、色、音楽、記憶、感情、痛み、そして愛。
主人公は、師匠とのやりとりを通じてこれらの排除された言葉を獲得して、それらから湧き上がる自分自身の感情に意識的になっていく。

そして初めて『生きる』とは何かを理解し、体感していく。

この作品の前提にある考えは、『違う』ことは『生きる』ことであり『争う』ことでもあるということだ。そして『生きる』ためには『違う』必要がある。つまり、『生きる』ためには『争う』必要があるということだ。

果たしてそうなのか。

『違う』ことを互いが認めれば『争う』ことは避けられるのではないか。

そんな気づきと問いが生まれる作品。

きっと、これからも観るたびに新たな気づきが得られるだろう。だから、また観たいと思う映画だ。
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