あんときの井上

ザ・ワン・アイ・ラブのあんときの井上のレビュー・感想・評価

ザ・ワン・アイ・ラブ(2014年製作の映画)
3.3
倦怠期の妻と夫が、精神と時の部屋みたいなゲストハウスを訪れると、互いが理想とするそっくりな夫と妻が現れて、本物と偽物の間で揺れ動きながら、夫婦とは何かを観客に問いかける映画。

夫婦の倦怠期の解消について本作を踏まえての考察を述べたい。

①妻をときめかせる。ただし夫は・・・
妻が偽物の夫にときめく一方で、夫は偽物の妻に無関心なのが興味深い。妻になっても女性は恋愛のようなときめきを欲しているが、こと男性は夫になっても新規の女性を欲し、二番煎じの妻には興味を抱かないってコト?残酷すぎるだろ??夫婦とは一体???

②妻が夫以外の対象を愛す。というのも夫が・・・
愛する本物の夫に浮気された妻の葛藤を解消する為に、偽物の夫を愛することで夫婦関係を維持しようとする妻の発想が興味深い。浮気されても夫婦でいたければ、オタ活など健全な活動に勤しむべしってコト?なら独身でもよくない??夫婦とは一体全体???

③共通の敵を想定し夫婦の仲を深める。ただ夫は・・・
本物の夫が偽物の夫に嫉妬して、偽物の夫のフリをして自分の妻を抱くとかなさけなくないのか?オマエ??たぶんそういうとこだぞ!?妻が嫌ってるトコ!!!一方的に嫉妬し敵対してるのは独りだけって、この夫婦は一体全体どうしたらいいんだい???

④妻好みにイメチェンする。とりわけ夫は・・・
服装、髪型、メガネ、清潔感、話し方、自信、そして抱きしめるとか、興味深い。ありのままの自分を愛してはくれないってコト?夫婦とは??

さらに、興味深いのは、夫と妻の偽物の理想的な夫婦が全然仲良さそうじゃないこと。言い換えると、いくら最高な組み合わせでも夫婦は上手くいかないということを示唆しているのかもしれない。映画の終わりでお互いの夫婦が入れ替わっても私には幸せそうに見えないのはそのことが起因しているからだと考えている。重ねて残念ながら、本物の夫は不都合な事実には目を逸らすことで、妻が入れ替わった事実もそんな2人の未来からも逃げるような夫だと考えている(本物の夫も本物の妻も入れ替わることを望んで選択したと仮定している)。

かくして結論は、倦怠期こそ夫婦と呼べれる関係である。しかし夫が現実を直視し妻への配慮を怠らなければあるいはもしかして・・・
あんときの井上

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