モウドクウサギ

ドローン・オブ・ウォーのモウドクウサギのレビュー・感想・評価

ドローン・オブ・ウォー(2014年製作の映画)
3.8
映画化しにくいと思われる、無人攻撃機を操縦する「パイロット」を主人公とした極めて静かな戦争映画。爆撃はモニター越しに行われ、爆発も殺人も無音でスクリーンに映し出される。全体を通して乾いたタッチで描かれ、かえって不気味さを感じる。元は実機の操縦をしてたトミーは、昔のように戦闘機に乗りたがっている。もはや、その時点で歪ながら、恐怖を失い、同時に諸々の感情を亡くしたように見られ、妙な共感覚を誘う。残念だったのは100分ほどながら、それでも長尺に感じたこと。カタルシスが生じにくい骨子なのは目に見えていたため仕方ないかもしれないが、より絞り込んでも良いだろう。もう一つ、決定的なのはラストの展開。トミーは明らかな戦争犯罪を犯すが、この描写にドローン爆撃を正当化するようなプロパガンダ的な要素を盛り込んでしまった事だ。