イチロヲ

発禁本「美人乱舞」より 責める!のイチロヲのレビュー・感想・評価

4.5
女性の苦悶に満ちた表情に美徳を求めている絵師・伊藤晴雨(山谷初男)が、生涯の伴侶(宮下順子)に対して責め苦を与えてしまう。かつて実在した責め絵師・伊藤晴雨(いとうせいう)の、3人目の妻との性生活を描いている、日活ロマンポルノ。

筆者は「奇譚クラブ」の関連書籍で晴雨の伝記を読んでいたので、感慨もひとしお。宮下順子の体当たり演技が驚天動地ともいえるレベルであり、氷が張った湖での放置プレイを本当にやっているところがスゴイ(監督が自分の体でテストしたらしい)。

緊縛シーンになると、縄を使った縛り方のキーポイントをナレーションで解説してくれる。女性をどのように縛り、どのような姿勢を取らせると、島田髷がどのように乱れるのか。細かいディテールに、徹底的に拘りたくなる気持ちはよく分かる。

「性愛の極地に迫るということは、それだけ死地に近づくことでもある」という、やるせない法則性が切実に語られており、サドマゾ心理の奥深さをあらためて痛感させられる。
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