mOjako

わたしに会うまでの1600キロのmOjakoのネタバレレビュー・内容・結末

4.0

このレビューはネタバレを含みます

良いお話でした。ストーリーは限りなくシンプルだし、自分探しの旅的なテーマ自体も全然珍しくはないと思います。むしろ旅行するくらいで本当の自分に出会おうなんておこがましいと思うくらいな訳で。

普通に撮ったらただ陳腐に終わってた題材がちゃんとグッとくる作品になった1番の要因は主演がリース・ウィザースプーンだったのがでかいと思いました。 PCTを歩く工程や彼女の過去自体は壮絶な訳ですが、それを受けるリース・ウィザースプーンは常に楽天性だったり強さだったりを感じさせる雰囲気を持ってて。荷物が重すぎて背負えなかったり、歩いてすぐ心が揺らぐ辺りにスゴく共感出来るから自然と話に乗れたし非常に彼女が魅力的。改めて良い女優だなぁと思いました。(ちなみにローラダーンも素晴らしかったです)

それと話の構成も良くて。安直な作りであれば彼女の過去を描くのは時制の古い順とかにしちゃいそうなもの。が今作では時制の順序はバラバラに提示されて、また何かを思い出す時に例えばモノや言葉や仕草などがほぼ必ずブリッジとして用意されてます。我々が現実に何かを思い出す感覚に近いというか彼女が1人で淡々と歩いている中で過去を振り返り、乗り越え、生まれ変わっていく工程にちゃんと理屈と説得力があるので、ただの理想を謳った物語でない所が素晴らしかった。ジャンマルクヴァレ相当才能ある監督では。

この手の自分探しものの中では最高峰の出来だと思いますし、時期によっては本当にこの映画を見て救われる人もいると思いました。まんまと「コンドルは飛んでいく」を聴きながらPCT歩いてみたいと思わされちゃいましたね。
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