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キャロルのyokoのレビュー・感想・評価

キャロル(2015年製作の映画)
5.0
私のクイーンとプリンセスが共演するからには観るべし。観るべし!

同性愛のイメージが強いが、見返すとむしろ年齢差、社会的地位の差異の愛の方が強い。同性愛はそこまで関係なく、これはルーニーがケイトに人間として対等に追いつく話。

終盤一度ルーニーがケイトを振るのだが、ルーニーのほうからもう一度会いに行く。ご破算ならまた会う必要はないわけで、中途半端なエンド、ふわっとした着地という感想もあるがこれは明確なハッピーエンド。

それまでおどおどしがちな目の泳いでいる演技をずっとしていたルーニーだが、ケイトだけを見据え前進する。受け付けのおじさんを軽くあしらい突撃する。わが姫をお迎えするために。

自分がナイトになって、クイーンを迎えに来たのだ。

アニメで例えるなら(なんで?)エヴァンゲリオンのマグマダイバーのアスカのバカねえ無理しちゃって、のシーンだ。ケイトはシニカルな笑みで嬉しさを誤魔化しているが、女の喜びが隠せてなくて、大人として自己の意思で歩みよってきたルーニーを讃える。あんたもやれば出来んじゃない。やっぱ私の目に狂いはなかった!(もちろん言ってはないよ)

両者が対等になった瞬間のシーン最高である。

あのあと公衆の面前でベロチューするか、手を繋いで走り出すかのどっちかだが、映像にしないのがこの映画の上品なところ。

女王とプリンセスの話がプリンセスの成長により人間と人間の話になる。
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