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キャロルのmoonのレビュー・感想・評価

キャロル(2015年製作の映画)
4.0
悲恋とか感動とか涙とかキュンキュンとか期待すると肩透かし喰らう間違いないです。アイラブユーもキャロルが一度言うだけ。色々と感じ取らないといけない映画だから大人の映画って感じムズカシイ。そして毎回観終わったあとにおばさま達が2人の演技が上手いって言って立ち去っていく。。アリスインワンダーランドの人降板してくれてありがとう。

劇中は正直もっと泣けるかと思っていました。ある意味消化不良。けどあとからにじり寄ってくる余韻で気づいたらエンドロール自然と涙がこぼれ落ちました。
サントラ素敵です。
「語らない美学」だと思う。
お願いだから2人とも幸せになって…

冒頭のキャロルがテレーズの肩に手を置くシーン、初めは見過ごしかねない何気ない行為。でもテレーズの思い出を共有した後もう一度観るとその意味が分かる…。


映画はキャロルの苦悩に、原作はテレーズの初恋を焦点に置かれていて(まだ原作読んでないけど)ハイスミスと親交のあったフィリスナジにしか書けない脚本というか姉妹作品だと思います。だから原作読んで初めて完結かなと…。
「逢いびき」という映画のオマージュらしいのでそれも観ようと思います。

女性同士の恋愛なので結果としては同性愛という事になるんだろうけどこれを「同性愛物」と分類するのはちょっと違う気がする。性別を超えるじゃなくて性別を感じさせない恋愛映画だと思います。一場面一場面全部濃厚で、目に焼き付けるように観ました。本編の写真集が欲しいくらい。男性はどうか分からないけど女性は中学生か高校生くらいの時一度は同性に憧れる事があると思います。もし、この映画を観ていて女性に恋に落ちる事があっても良いんだって分かっていれば「これは恋なんだな」ってあの時思ってたかもしれない。前例もお手本も知りえないのに、その気持ちに気付いた当時の人達は(2人も含めて)凄い。
人が人に惹かれる理由がこの映画にあります!!

ラストシーンの素晴らしさ、もどかしく人混みを掻い潜るカメラ、それに被さるカーター・バーウェルの一度聴いたら耳を離れない超美メロスコア。鳥肌が立った。今年ベスト級(Twitterより)

(監督も普通の同性同士の悲劇で終わる恋愛映画とは違う結末にしたかったそうで)

生きてるうちにこんな素敵な作品に出会えよかった。もう2回観たけど後もう2回観る予定。何回観ても物足りなさを感じるけど映画館を出るとまた観に来たくなる不思議な魅力がありますね。DVD買います。

ただ予備知識詰め込みすぎたの後悔してます…
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