MATSURI

キャロルのMATSURIのネタバレレビュー・内容・結末

キャロル(2015年製作の映画)
3.9

このレビューはネタバレを含みます

本質を捉えることに長けているのに、と言うのはおかしいけれど、キャロルはとてもお洒落だ。彼女の顔の脇だけ外巻きになっている髪型も、綺麗に塗られたコーラルオレンジのネイルも、遠くからでも彼女と分かるあでやかさも、見ていると時間を忘れる。

お互いを見た瞬間惹かれ合うのだから、主演の2人の見た目はとても重要だったはずだ。加えて50年代のファッションと、べっ甲飴を透かして見ているような色彩、この映画は視覚だけで9割成功している。

テレーズが求婚者ではなくキャロルと過ごすことを選ぶ理由を、「話が通じるからよ」と言う。

2人のパートナーの男達は、彼女達のことを分かっていないし、知ろうとも思っていない。女に人権を与えていない。この時代だからと言いたいが、今でもこんな男性はごまんといるだろう。

もし、男たちが「話の通じる」人であったらどうなっていたのか。

それでも彼女たちは惹かれあったと思う。
理解のあるパートナーへの罪悪感を抱きながら。逃避行という手段は選ばず、静かに寄り添うだろう。

自分らしくいることをやめないと宣言したキャロルが、それでも娘にはひどい思いをさせたくないと、せつせつと語る。

本当に自由な人は、他人の自由を邪魔しないし、心を縛り付けたりしない。失敗も人のせいにしない、全てを引き受ける覚悟がある。こんな風に生きたい。

キャロルは予告で言われていたような「かわいそうな人」などでは決してない。
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