コーヒーマメ

キャロルのコーヒーマメのレビュー・感想・評価

キャロル(2015年製作の映画)
4.3
あぁめっちゃ好きや.....
このポスターのルーニー・マーラがあまりにも美しいから楽しみにしてたんだけど、終わってみればケイト・ブランシェットの底知れぬ魅力に気付かされた。
なんよ、あのラスト。
観てから4日ほど経ってるけど、未だに思い返すほど、ブランシェットの最後の表情は脳裏に強烈に焼き付いてる。

『太陽がいっぱい』などで知られる、パトリシア・ハイスミスが別名義で出版した同題小説の初映画化。
『太陽がいっぱい』では隠して描いた同性愛を初めておおっぴらに書いた本作は、「同性愛は病気」とされた出版当時ではかなり衝撃的だったはず。
そして、監督をつとめるのは、実際にゲイであると公言してるトッド・ヘインズ。

ただ、同性婚が認められつつある現在、同性愛の物語にはそれほど新鮮味を感じられない。
しかし、本作は、女同士が愛し合う姿を描くことで愛の真理を深く追究すると同時に、50年代ニューヨークの町並み、ファッションを忠実に再現し、そして何より主演二人の繊細な演技と、キャラクターとしての魅力が半端じゃない。

低い声で上品な言葉使いをするブランシェット演じるキャロルが着こなす上流階級らしい服装は、マーラー演じるテレズが憧れるのも頷ける。
テレズもテレズで、彼女との出会いを機に、自身のアイデンティティが揺らぎはじめる。キャロルのことを考え悩むテレズを見てると、恋愛って自分を見つめ直したり、成長させる大事な過程のような気がした。

二人の愛し合う姿、成長し合う姿は男女関係なく心に来るものがあると思うけど、男の身としては、悪役のように描かれる男たちが少し可哀想だった。。笑
テレズよキャロルよ、男をそんなに悪く思わないでくれ.....笑

冒頭とラストで180度異なる視点から語られる、映画ならではのストーリーテリングも非常に秀逸。
ネタ元の『逢びき』も近いうちに観たい。

画面に映るもの全てが美しく、隅々まで見て、聞いて、映画の楽しみを享受できる傑作。
そして、ルーニー・マーラーの美乳を拝めることができるという、嬉しい誤算。