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キャロルのdnのネタバレレビュー・内容・結末

キャロル(2015年製作の映画)
4.2

このレビューはネタバレを含みます

赤が素晴らしく美しい映画。全体的に色使いがとても美しいのだけど、赤以外の色彩が抑えられているせいでより赤が映えて見える。

特にキャロルが鮮やかな赤い洋服を身にまとっていることが多くて、テレーズの視点から見た、どんよりとしたこの世界に表れたキャロルというとにかく美しくて魅力的な人に一目惚れした感覚がすごくわかるし感情移入してしまう。

あと2人とも異性の恋人がいるわけだけど2人とも精神的にマッチョで(養うという意味では)頼り甲斐もあって、それは別に普通であるしむしろそういう男性が魅力的なのもわかるんだけれどキャロルもテレーズも別にそこに魅力は感じていないズレも面白い。

ハージやリチャードなりの理想の恋人を精一杯彼女たちに演じているしその理想の恋人が自分の愛する人の理想だと信じてやまないところがとても滑稽。
ハージもリチャードも自分の理想を恋人に押し付けてるのに対してキャロルとテレーズ2人の恋愛は無理強いしない。お互いが望むこと、思っていることを言葉でなく行動や態度で察して思いやっている。(お互いのクリスマスプレゼントのチョイスなんてまさにそう。好きだからこそ相手が何を望んでいるかを考えて選び、でも見返りは求めてない)

彼女たちはあくまでも自分に素直になること、自立することにとても熱心。あれだけ娘を愛していたけれど離婚裁判の話し合いで自分に嘘はつけないと啖呵を切るのは凄みがあった。
テレーズもキャロルとの別れで茫然自失になるけれど振り切って自分のやりたかった仕事に就いてどんどん自分に自信をつける。

こうして自分を解放して自信をつけた彼女たちがまた再開したときの表情はとても美しくて私まで恋してしまいそうだった。
たぶん逃避行したときの脆くて危ない関係でなく、微笑みあってやり直す2人の関係はきっと強固なものなんだろうなと想像させるラストで最高でした。


ていうかこんなにはっきりとした女性の自立、そして同性愛に対しての考え方がアメリカでは50年代には社会的には批判されていても自意識として持ってた人がいたと思うと本当に先進国なんだなって実感する……

現在の私たち日本人は(自分もふくめ)果たしてここまではっきりと自分について信念を持って考えられているのかなー
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