ve

キャロルのveのレビュー・感想・評価

キャロル(2015年製作の映画)
4.5
傑作。何度も予告編を観ていてその度に打ち震えていたのだけれど、あまりに美しい。主役となる2人が持つ美しさを、彼女たちの(その多くはテレーズの)視点を借りた映像で堪能する。心奪われた人はかくも魅力的に見えるのか!と思う。
そして相手への思いの強さが伝わる演出も見事。肩に残る手の感触だったり、相手が居なくなった後の思いが込み上げる様だったり。互いを初めて認識する瞬間の視線の移り変わりも完璧。台詞に頼らずとも感情の揺れが伝わる映像の雄弁さが嬉しい。

視線の多くはテレーズからキャロルへのものではあるのだけれど、それが逆転する後半の素晴らしさ。ラストに向かい、感情はどんどんと高まっていく。玩具の電車のように、同じレールを延々と巡り続けるはずであった人物が、一つの大きな出会いによりそこから「解放」される。圧倒的な強さを持つラストシーンで得られた高揚感が終映後もしばらく続いた帰り道。
ve

ve