ユキ

キャロルのユキのレビュー・感想・評価

キャロル(2015年製作の映画)
4.3
うつくしい では足りない

キャスティングの妙が光る名作でした。
わたしみたいに小振りの唇を持つ女からすると、ケイトブランシェットの横に大きく広がる唇はそれはそれは魅力的で、対してルーニーマーラは形の整った小さめの唇で、あの二人がキスするときっと気持ちがいいんだろうななんて思ってて。

50年代ということでウエストの位置と長めの丈のスカートが印象的で、視覚的に注目するところが多くてゆったりした映画のわりに目線は忙しかった、この冬のファッションはルーニーマーラちゃんみたいな服装で責めたくなる( ´_ゝ`)キャンワイイ……

男らしさ 女らしさ
って誰もが持ってて、生まれ持った性とどのくらいギャップがあるかっていう差がその人の人生に影響を与えていくもんだと思うんですが、キャロルからは内に秘めたmanhoodを結構感じたなあ。彼女が大切にしているであろうポリシーとか信条には一貫性があって、自立していて、格好がいい。そんな気高さを、キャロルが着るやわらかな服が中和するのがたまんない。
テレーズはいい意味でも悪い意味でもアイコンみたい、人形っぽい。
ただ、チェックだらけのファッションに身を包む彼女が段々本当に「花開く」ように変わっていく様は美しかった。

この二人の対峙が美しいのは互いに「今」を生きているからだと思います。わたしに出会う前のあなたの恋愛にわたしはいない。相手の過去を知り尽くすことが愛ではいし、今あるその姿を包むことが本来の意味での対峙、愛し合うってことなんだと思います。
ユキ

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