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キャロルのnamnieのネタバレレビュー・内容・結末

キャロル(2015年製作の映画)
4.3

このレビューはネタバレを含みます

【備忘録】

貴婦人キャロルの美しさ、強さ、しなやかさ。対する、テレーズの可愛さ、若さ、そしてキャロルとの出会いを通して成長していく姿。映画の始め、あどけなく、どこか危うい印象だった彼女が、最後のホテルのシーンでは、自律した美しい大人の女性へと変貌を遂げている。YESしか言えなかった彼女が、NOを伝えられるようになっている。その姿が嬉しいのに、突き放されるような、少しだけ寂しいキャロルの気持ちはスクリーンを超えて伝わってくる。

◎映画の好きポイント
〈キャロル名言集〉
・キャロル、"falling out of space" まるで天から落ちた天使のようだとテレーズを表現
・「私が吸うのを嫌がるから」と、旦那に隠れてタバコを吸う夫人に対して、"So? You like it."
・才能があれば写真家になりたいと言うテレーズに向けて「それ(才能)は他人が教えてくれること。あなたは努力し続ければいい。正しいと思うことをやり、流れに任せて。」
・娘の親権を放棄、面会権を要求する場面で旦那に向けて「(娘を独り占めしたいが、レズビアンである)自分を偽る生き方では、私の存在意義がない。」「(裁判になれば醜くい争いが待ってるが、)私たちは醜くい人間じゃないはずよ。」"WE are NOT ugly people." に色んなものが詰まってた。
〈映像〉
・キャロル宅までの道のり、初めての助手席。テレーズの感覚から描かれる映像と音声。
・暗室。キャロルの寝顔が現像液の中でゆらゆら揺れるシーン。
〈ストーリー〉
・レズビアンであることが、親権争いの中で「道徳的」事項として不利になったり、「治す」ために精神科に通わせたり。50年代アメリカのLGBTの問題。
・旦那の醜さに対峙して、女性たちの美しさが溢れ出てる。抑圧されるものたちが見せる強さは美しく、力を持つものの欲望を貫き通す独りよがりな姿は醜い。そのコントラストが強め。


本当に素敵な映画に出会った。
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