たいせう

キャロルのたいせうのレビュー・感想・評価

キャロル(2015年製作の映画)
3.8
一言で言ってしまえば家庭を持つはずの女性がレズでそこの家庭と自分の恋愛感情との狭間で苦しむ話。なんだけど、そこにはなんかもっと深いものがあって。自分の気持ちにどこで素直になればいいんだろうっていう。自分の娘には会いたいけど、そのためには仕事一本の夫とも生活しなくちゃいけない。けどそれでは本当の愛に満たされない。そこの葛藤がよく描かれていると思った。何よりテレーズとのベットシーンがなんかゾワっとする感じ。ドラゴン・タトゥーの女とかに出ているルーニー・マーラーだが、ドラゴン・タトゥーの女とかに見たことなくて、初見の女優。こんなにベレー帽とかが似合う女優いるんだなと思った。まだ22歳だし、ソーシャル・ネットワークとかも見たいと思った。とにかく可愛いし、艶かしい。
「私、自分の昼食も決められないの。何もわからないからyesって言っちゃうの」って言葉に象徴されるようにテレーズは自分の心の奥にいろいろな気持ちを抱えてどれが本心かわからない多感な少女。その美貌から男がたくさん寄ってきて「愛してる」と言われるが、何かしっくり来ない。そんな中で気を許せて、それでいながら自分では理解できないところにいる経験豊富なキャロルに惹かれていく。
キャロルとの愛は夫の探偵によってバレてしまい、テレーズとも連絡を断たないといけないのだが、2人ともそこで表面的には関係が終わったようにしていたが、内面ではお互いを求め合い続けていた。テレーズはキャロルと会ったが、お互いギクシャクしていて会話も弾まないので、男友達に誘われてパーティーに行くが、どこか俯瞰してほかの男女が戯れている様子を見る。「別に私じゃなくてもいいんだ」内心そう思っていたに違いない。テレーズは自分だけしか求めないキャロルのもとへやはり戻って行く。アビーが「あなたは私とは違うの。私は昔から彼女のことを知っているの。(だからあなたは特別なのよ)」という言葉が印象的だ。
そして最後のシーン、キャロルが自分を捜しに来たテレーズをみて、ニコッと笑う。「やはり、私を求めているのね」とでも言いたげに。
普通の男女の恋愛ではなく、女性同士の恋愛を描いたという点でとでも新鮮だった。
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