『初恋』
監督・村山知義 東宝=新協劇団 1939年
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『戀愛の責任』
村山知義の映画は『戀愛の責任』と『初恋』の2本しかないが、演劇畑の人。なので、本作に魅かれたが、ヒロインが我儘で、ホテル代がないからと男に電話を掛けてカネを届けさせたりするような男性依存症。彼女を取り巻く人々も、結婚を経済的援助という打算で考えている。それを女性の解放のように勘違いしているのだから関わりたくない。男の会社が立ち行かなくなると、カネの切れ目が縁の切れ目となる。原作は知らないが、ヒドイ脚本だ。村山の演出は舞台なら通用するが、映画では無駄な描写となる。電話のダイヤルを廻すのはジャンプカットなどの手法を考えてもらいたい。