なるほど納得のタランティーノ映画という感じである。
脚本流出してタラちゃんがブチ切れ、製作中止の憂き目にあうか否かというところだったらしかったが、この度目出度く公開するにいたったことに、まずはお祝いを申し上げたい。
ただ率直なところ、流出したからといって製作やめるほどのホンだったかぁ？というのが本音だ。
まず、前半が長すぎる。いや、長い分にはいいのだが、あまりにもったいぶりすぎて、逆に何も起こってない。だから寝る。一応ミステリーだかサスペンスだかを標榜しているわりに、みんなイヤなやつではあるが怪しげなやつはあんまりいない。というか、何が起こるのかわからなさすぎて何に注意して見ていれば楽しめるのか、途中までよくわからない。
きちんと作ってくれる分にはいいんだが、誰も怪しくないのでただ成り行きを見守るしかないという放置プレイに陥る人は生じるとは思われる。イヤなやつらの話の楽しめる人なら楽しめるだろうが、コナンとかそのへんのミステリーを期待していくと、ちょっと、肩透かしをくらうかもしれない。
種明かしパート付近は比較的テンポよく見れた気がするが、それでも木更津キャッツアイの足元にも及ばない伏線と時間の巻き戻し方である。というか、床に散らばったあれとか実は床の○○○とか、あれは伏線なのか？まあ、予想外ではあったけども。
種明かしパートに入る前からの意外性を重視しすぎて、前半がちょっと慎重な作りになりすぎ、フットワークが重くなったのでは？というのがホントにざっくりした印象である。
どっかから元ネタのわかりそうでわからない名作映画からの引用で成立させている感のプンプンするいつものタランティーノ作品だと思われる。フィルムチックな絵作り、パナビジョンをわざわざ使用しての撮影、という点からも、一部の曇りもないタランティーノの映画愛は見て取れる。一部には絶賛されること請け合いだが、人は選ぶ作品だろう。オチもいつものタランティーノで、ある意味安心。クオリティは全体的に高い。
