コーヒーマメ

ヘイトフル・エイトのコーヒーマメのレビュー・感想・評価

ヘイトフル・エイト(2015年製作の映画)
4.1
タランティーノ映画は、映画館で観なきゃ意味がない!!!
初めて、劇場で彼の作品を観てやっと気付いた。

【タランティーノによる密室ミステリー】という触れ込みからの予想通り、ミステリー要素は薄め。笑
チャプター1に当たる、密室に8人(実際は運転手も含めて9人..)が閉じ込められるまでの、馬車での掛け合いがびっくりするほど長い時点で従来の作品構成のバランスからは逸脱していて、あぁ普通のミステリーじゃない...今観てんのはタランティーノ映画だった、と再確認させられる。
ただ、会話そのものは過去作ほど面白くはない。一応、どの会話にもオチがついてるのでクスッとくるんだけれど。

本作の魅力は何よりも、8人のキャラクターが総じてキャラ立ちしてるところ。
前作でも強烈なインパクトを残したサミュエル・L・ジャクソン、『遊星からの物体X』から呼ばれたであろう、カート・ラッセル、53歳とは思えないJ・J・リー、そして、保安官を演じたウォルトン・ゴギンズがマイお気に入り!w
中盤までの軽いキャラクターから、終盤を迎えるにつれてカッコよくなっていく感じ、めちゃくちゃ良い!!

タランティーノ作品は、キャストやストーリーだけでなく、裏方や、撮影機材までも豪華。

タランティーノ念願の参加となった、エンニオ・モリコーネの音楽は、マカロニ・ウエスタンそのもので最高にかっけぇ!
87歳でこんなにイカした音楽を作れるのはどうにかしてる!!アカデミー賞獲得おめでたい!
種田陽平による、美術セットも、細部までこだわっているのがよくわかる。ジェリービーンズ、食べたい。

70mmフィルムによる撮影も、素晴らしい。
壮大な雪景色を効果的に映すため、だと思ってたんだけど、雪原のカットは冒頭5分くらいしか存在しない。
本作で70ミリの効果が際立っていたのはそこではなく、密室での登場人物のそれぞれの細かな動きが確認しやすい点にあった。
誰かと誰かが話している先に他の誰かが何かしていたり、ある事実を知っている誰かがその事実を知らない誰かの行動をこっそり見つめたり、、、スクリーン全体に散りばめられた各々の物語が交錯していく様子に、ぐいぐい引き込まれる。

どうでもいい内容の長い会話劇、強烈な個性ばかりの登場人物、緻密に設計された密室と、そこで繰り広げられる血みどろのサバイバル、それらを彩る巨匠の音楽。。こんなにも楽しめる要素の詰まった映画、なかなか無い。
タランティーノ映画は絶対に映画館で。
そして、なんで日本には70ミリ上映館が一つも無いねん!!!