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ババドック 暗闇の魔物のtntnのレビュー・感想・評価

ババドック 暗闇の魔物(2014年製作の映画)
4.7
『エクソシスト』や『シャイニング』、『反撥』など、取り憑かれた人間が家庭を壊していくホラーの伝統を踏襲しながら(例えば終盤の母親と息子のやり取りの場面は『シャイニング』でのジャックとウェンディの対決の裏返し)、それらの作品が多分に含んでいた女性蔑視の要素に批評的目線を与えている。
取り憑かれた人間が出てくるホラー映画は、サイコサスペンスとの境界が曖昧で「全部頭のおかしい人の妄想でした」という結論にも陥りかねないのだが、本作は仮に全て妄想だとしてもその根本にはシングルマザー家庭の生きづらさを生んだ男性中心社会があると喝破してみせる。
しかもラストに至っては、今まで見たこともないような結末が待ち受けている。
もちろん随所のホラー演出もキレッキレで、オープニングの交通事故描写、粒子の荒いテレビ画面の気味悪さ、モノ化してしまう人間、世にも奇妙な「モンスターの主観ショット」など、新鮮なアイデアにあふれていた。
隣の家にババドックがいる!?の場面の演出とかホント的確。
さらに凄いのはここまでの離れ業をたったの94分という尺で、しかも途中からほぼ一軒家&2人の人間のみで成立させてしまう点。
これがデビュー作ってマジか。ジェニファー・ケント、天才かよ。
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