本作は、東京都世田谷区豪徳寺にある特定非営利活動法人「自立の家」で毎月2回自立支援の一環として行われている絵画教室「アトリエいろいろ」で、絵本作家である三田圭介さん(37歳)が様々な障がいを持つ参加者と一緒に創作活動をする様を、吉行良介監督(34歳)が10年に渡って記録した映画です。 彼らの作品から感じられる独特な絵のタッチ、ユニークな視点、シャープな色彩感覚からは、アート本来の初期衝動や爆発力、表現の豊かさを感じることが出来ます。 画面から伝わってくるのは、三田さんが障がい者の治療(療法)の一つとしてこの仕事をしているのではないということ。同じ創作活動をする「仲間」として、より良い作品を作るために一緒にやっているということが、作業をする彼ら彼女らの目から感じ取れます。 「普段何気なく過ごしていく中で、つい見過ごしてしまうような小さくて大きな喜びの瞬間と、それと当たり前に同居する怒りや憎悪が、作品と向き合う彼らの映像から見えてくる」と語る三田さん。 映画『アトリエいろいろ』は、物の見方や感じ方、コミュニケーションの問題など様々な面から、「自分(他者)って何だろう」「作品を作るって何だろう」「生きるって何だろう」というような根源的なテーマにまで発展させ、考えられる映画になりました。