映画好きの柴犬

君が生きた証の映画好きの柴犬のレビュー・感想・評価

君が生きた証(2014年製作の映画)
3.8
その設定は必要だったか?

 大学の銃乱射事件で息子を亡くし、隠遁生活を送るサム(ビリー・クラダップ)が、息子の残した楽曲を演奏することで、その死に向き合って再生していく、音楽映画。

 音楽映画としては楽曲もよくて、サムとバンド仲間がのぼり調子で人気を得ていく様子は「はじまりのうた」なんかに近い高揚感がある。そこに、バンド仲間のクエンティン(アントン・イェルチン)との疑似親子関係を絡めて、息子を失った喪失からの立ち直りを描くっていうのは、ベタだけど気持ちいいストーリー。

 でも、本作はそれだけではなく、終盤に明かされる秘密が波乱を起こすんだけど、これの描き方が中途半端に感じた。この設定を活かすんだったら、もっと息子のしたことと残した楽曲に向き合うように描くべきだと思ったし、エンディングも綺麗すぎると感じた。