まーくん

グランド・イリュージョン 見破られたトリックのまーくんのネタバレレビュー・内容・結末

1.5

このレビューはネタバレを含みます

前作から3年ぶりとなる続編。

前作もトリックはガバガバだし何でもアリなCG全開のマジック連発と無茶苦茶な内容でしたが、それでもまぁそこに目をつぶればどんでん返しなんかも上手くハマっていましたし、クライムサスペンスとしてはまぁまぁ面白い作品だったと思います。

しかし今回は、特に脚本の出来が酷く、またアクションシーンもゴチャゴチャしてる割に見せ方が下手なのか、イマイチ何をやってるか分からない感じに仕上がってました。

脚本については、登場人物たちが「なぜこの行動を取ったのか」が非常に不可解なことが多く、話の展開上無理やり無駄な行動を取っているように思いました。

例えば、ラストにマイケル・ケイン演じるアーサーとダニエル・ラドクリフ演じるその隠し子ウォルターが”ホースメン”の最大の仕掛けによって悪行を全世界に公開されてしまうのですが、そもそも序盤で「全世界から隔離されたい(=消えていたい)」と言っており実は生きていたということが世間に知られては困るウォルターがマスコミが集まっていて何を仕掛けられてるか分からないホースメン集団の元へ乗り込む必要性が全くありません。
特にウォルターがいないと困るような話ではないため、わざわざ危険に身を晒す必要はなく、安全なマカオに滞在して部下たちに仕事をさせればいいだけではないでしょうか。
まぁ展開上仕方ないといえば仕方ないのですが、このような展開を動かすためだけの理不尽な行動が多いように感じました。

あとこれは前作からも同じですが、とにかく催眠術がチート技過ぎて、だったらもう最初から最後まで肝心なところは催眠術でやり過ごせばいいのにと思ってしまいました。
チップを盗み出すシーンでも一夜漬けのトランプ芸なんて無謀な挑戦をする必要がなく、研究所の人たちを催眠術で操れば良かっただけじゃないかと。
結局は「CG全開でスタイリッシュなトランプマジックで危機を脱する」というシーンが撮りたいだけだと思います。
まぁ最後の最後で、もしそこで催眠術を使っていても通用してなかったであろうオチが出てきますが、そもそもあの人が”アイ”のメンバーである必要が、もっと言えば偽物のチップを盗ませる必要すら、どこにあったのか全く分かりません。

と、これ以外にも山のような脚本の問題があるのですが、最大の問題は前作でディランの長年の復讐相手であり罠に嵌めて投獄させたサディアスが実は”アイ”のメンバーでホースメンたちが立派なマジシャンになるのを見守ってましたよ、という、前作を全否定するような酷いオチです。
前作も色々と穴だらけのストーリーでしたが、「正義の味方が悪を討つ」という一応のカタルシスがありました。
今回の酷い続編のおかげで、そのカタルシスすら無かったことにされてしまいます。

見どころといえば序盤のオクタの発表イベント乗っ取りくらいですが、そこも正直うーん…といったデキで、前作のように粗はあってもそれをカバー出来るようなシーンは一つも出てきませんでした。

個人的には今年劇場で観た映画の中ではワーストです。
ハリーポッター以外のラドクリフを観たい人にはオススメかもしれません。
まーくん

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