MasaichiYaguchi

Re:LIFE リライフのMasaichiYaguchiのレビュー・感想・評価

Re:LIFE リライフ(2014年製作の映画)
3.8
人生のやり直し、リスタートの映画というと“感動の”という枕詞がつく肩に力が入った作品をイメージしてしまうが、この作品は良い塩梅に力が抜けていて心がホッコリする。
出て来るキャラクターたち、主演のヒュー・グラントお得意の“愛すべきダメ男”のキース・マイケルズ、マリサ・トメイ演じるしっかり者のシングルマザーで向学心のあるホリー・カーペンター、ファーザー・コンプレックスの女子大性カレン、強面だけど涙もろい元海兵隊のハロルド・ラーナー学科長、規律に厳しいハイミスのメアリー・ウェルドン教授、シェイクスピアをこよなく愛する“お隣さん”ジム・ハーバー教授、この一癖も二癖もある面々が人生のターニングポイントのドラマを笑いと共に賑やかに彩っていく。
かつてはオスカーに輝いた脚本家でありながら、その後鳴かず飛ばずで落ちぶれ、妻子にも逃げられたダメ男である主人公が、都落ちするようにニューヨーク北部の田舎町ビンガムトンの公立大学でシナリオコースの教鞭をとるというストーリーなのだが、「脚本家」が題材となっているので、様々な映画ネタが登場して楽しい。
そして主人公が学生たちにシナリオの書き方を教えていくなかで初心を思い出し、自分の出世作の切っ掛けとなった息子への思い、映画への思いを取り戻していく展開に温もりを感じる。
自分を頼りにしてくれたり、温かく見守ってくれたり、エールを送ってくれたりする人々に囲まれることで立ち直っていく主人公。
それでも人生終盤の“第3幕”は自らが開けなければならない。
ラブコメの帝王と呼ばれるヒュー・グラントの新たな魅力一杯の本作は、筋書通りにいかない人生でも書き直し、やり直しが出来るということを温かな笑いと共に我々に教えてくれる。