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サヨナラの代わりにのLEGIONのレビュー・感想・評価

サヨナラの代わりに(2014年製作の映画)
3.7
ALSと診断された女性と夜遊びばかりの女子大生との絆を描いた物語。ALSについては深く触れてどれだけ辛い病気なのか伝わりやすく、ALSの症状が結果的に自分で何もできなくなるのは分かったが、物語前半からヘルパーに生活を頼んでいたから症状の進行がイマイチ掴みにくかった。「手に痺れを感じる→車椅子生活で夫に生活の全てを任せてる状態」へと一気に場面転換が行われ、病気の段階が一瞬にして進んでいるから病気の過酷さを描きたいのは理解できるが、どんどん失われていく自由を時間かけて描いた方が病気に抱く恐怖感も増すし、主人公の強さに感動しやすくなっていたと思う。そのせいか病気の進行速度が遅いから主人公の死にたいする危機感が強くは感じられず、展開にも少し間延びしたように感じた。
主人公がALS患者どころか重体の患者をヘルパーしたことのない素人を雇ったのは自分が生きていることを確かめたかったからなのかもしれない。主人公のように真面目な人生を歩んできた者と全く逆であるおふざけが過ぎた夜遊びばかりの者が交わることで人生の選択肢の幅や世界の広さを知り心身共に成長を遂げていく。主人公を病気の者ではなく一人の人間として接する女子大生の存在のおかげで”生きる”ということを人並み以上に頑張れていた。人間は一人で生きられないということを示していたこの作品はとても心が温まる。
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