ロマンポルノとは名ばかりの素晴らしいコメディ映画。悲劇的な設定から喜劇を重ね、最終的には切ない終わりを迎えるところはチャップリンを思わせる展開。ポルノ全盛期にはただエロいだけでは終わらない多様性がある。
物語は女衒が知恵遅れの女を品川の風俗店に売るとこから始まる。この女は処女で性の知識は無く、それゆえに起こるやりたい男との認識の差が絶妙な笑いを産む。
相撲取りが来店し相撲を取ろうという誘い文句を言葉通りに受け取り、正直に相撲を取る。そんな感じでSEXそっちのけで客と暴れまくる。その結果、客を満足させることなど全くできずに、ただ店を荒らして騒がすばかり。
可愛く良い体をした主人公が男のおもちゃとして生きるだけということはなく、活発で常に騒ぎを起こす存在としてあり、ベタだがコメディの主人公としてきちんと機能している。舞台設定により女性の裸も必然的なものとしてでてくるので、女性も江戸の風俗を題材としたコメディとして楽しめると思う。
艶笑譚の一つとして舞台が江戸ということもあり、古典的名作として語り継がれるべき一作である。
