てぃだ

ガーディアンズ・オブ・ギャラクシー:リミックスのてぃだのネタバレレビュー・内容・結末

2.4

このレビューはネタバレを含みます

 アメリカのブロックバスター映画の主人公は何故か「孤児」が多い。そうなると大抵は続編あたりで主人公の親ないし親に関する過去に絡んだ人物が出てきてそれがストーリーの核となる。『スターウォーズ』の第2作でルーク・スカイウォーカーは憎きダースベイダーが自分の父親だという真実を知る。『ハリー・ポッター』は自らの両親を殺した闇の帝王と7作という長きに渡り因縁の対決を強いられる。『パイレーツ・オブ・カリビアン』で若き青年ウィルは死んだと思っていた父親に再会する。『アイアンマン』の2作目に出てくるヴィランは主人公の父親に恨みを持つ男。『スパイダーマン』も孤児。『スーパーマン』も孤児。『バットマン』も子供の頃悪党に両親を殺されている。『スタートレック』のカークも幼い頃に父親を亡くしている。『ロードオブザリング』のフロドもおじさんと暮らしているということはおそらく孤児。孤児孤児孤児。何でこんなにもアメリカ映画界のヒーローには孤児が多いのか。「選ばれし者は孤児でなければならない」という法律でもあるのか。あ?『男はつらいよ』の寅さんもよく考えたら孤児か。






 その法則に則って?『ガーディアンズ・オブ・ギャラクシー』の続編もまた父親絡みの話から始まる。クリス・プラット扮する主人公の前に「父親だ」と名乗り姿を現すのはカート・ラッセル。今回は更にシルベスター・スタローンにヴィング・レイムスにミシェル・ヨー(何そのメイクw)までが出てきてますますキャストも豪華で華やぐ。世界観もますます広がりを見せる。もちろんアクションの派手さもスケールも前作とは比べ物にならないレベルでパワーアップ。さぁ、用意はいいかい?シートベルトはちゃんと忘れずに締めたかいお前ら。振り落とされないようにしっかり掴まっててくれよ。歯を食いしばれ。全速力ハイテンションでぶっ放すぜ。手加減なしだぜ。いくぞぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉ。






 ・・・ということらしいのだけれど、残念ながらやはりそこまで乗り切れていない随分と冷めた自分に気付く。というかそもそも1作目の前作すらほとんど乗り切れなかった自分が、この船に再び乗船すべきじゃなかったと言われてしまえばそれまでなのだけども。やっぱいまいち乗れないんだよなぁこの世界。うーん、まじであんたたち『アベンジャーズ』に入ってくんの?割とガチで来ないでほしいんだけど自分。勘弁してくれ。






 と僕がいくら嫌だなぁと思おうが既に『アベンジャーズ』入りが決まっているというこの『ガーディアンズ・オブ・ギャラクシー』。ヤツらは確かに色々と異色のマーベルヒーローだ。そもそも変なピチピチスーツにマスクを着たヒーローが一人もいない(プラットがたまにやや変なマスク被るけど)し、徹底的にコメディのノリで作られている。そこが従来のアメコミには乗れなかった多くの観客をも魅了した所以だと思うし、DCヒーローのように妙に鬱鬱とされないのもありがたいといえばそうなのだけど、個人的には本作。この「仲良しごっこ」を延々と見せつけられているだけのようなノリにどうにもはまり切れない。どいつもこいつもお喋り野郎ばかりで戦いの時もそうじゃない時も常におしゃべりばっか。ぺちゃくちゃぺちゃくちゃ。正直うるさい。常に毒舌を叩き合って口喧嘩しているようでいて実は仲間想いなのは別にいい。仲がいいのも結構じゃないか。ただコイツらほんとただ単に仲間内でキャッキャッキャ騒いでいるだけにしか見えない。そこがとても辛い。お互いへの尊敬とか信頼とかそんな情は僕にはまったく感じられない。ひたすら仲の良さを見せつけられるだけで何が面白いのか。仲がいいことと信頼感の強さや結束力の強さはちょっと違うんでねか。






 本作のノリを見ていてつい思い出すのは人様の結婚式だ。ほら、結婚式に行くとよくあるでしょう?花嫁花婿の学生時代のサークルやら部活が一緒のご友人の方々とかが本人たちにしか分からないネタ等々を披露しあって仲間内だけで爆笑してゲラゲラ楽しそうにワイワイして盛り上がっているだけで、他の来賓の方が置いてけぼりでただポカーンと見ているだけしかできないあの感じ。あれ本人たちはまじでものすごく楽しいと思うんだ。幸せだと思うんだ。でもさ正直周りからすると迷惑でしかないんだよねあれ。いやまぁあれは一生に一度の結婚式だ(ろう)から別にやって頂いて全然かまわないんだけど、それと同じようなノリを映画でやられるとね、とっても悲しいのさ。作り手はとっても楽しんで作ったんだろうけど、客を置いてけぼり。もう置いてけぼりにされてしまった客は圧倒的な孤独感に苛まされる。「なんで映画館まできてこんな孤独感に押しつぶされそうになってるんだ自分・・」状態。まぁ合わない僕がセンス悪いんでしょう。はいはい。






 といっても冒頭の長回し風アクションだけは面白いし、BGMのチョイスだけは前作と変わらず相変わらずサイコーで冒頭からかますかます。『アベンジャーズ』組と合流した際にはぜひとも音楽の担当はジェームズ・ガン監督ないし本作の音楽担当の方にやって頂きたい。戦闘要員ないしストーリーを牽引するメインキャストとしてのドラマパート要員としてはいまいち魅力が分からない方々だけれど、宴会&余興要因としてはとっても愉快で面白い方々だとは思うので、そこのところはよろしく頼むよ。
てぃだ

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