あでゆ

オデッセイのあでゆのレビュー・感想・評価

オデッセイ(2015年製作の映画)
4.6
火星での有人探査中に嵐に巻き込まれた宇宙飛行士のマーク・ワトニー。乗組員はワトニーが死亡したと思い、火星を去るが、彼は生きていた。空気も水も通信手段もなく、わずかな食料しかない危機的状況で、ワトニーは生き延びようとする。一方、NASAは世界中から科学者を結集し救出を企て、仲間たちもまた大胆な救出ミッションを敢行しようとしていた。

確かに行って帰ってくる物語だけど、"オデッセイ"なんて邦題つけるべきじゃなかったと思う。"ゼロ・グラビティ"以来のクソSF邦題。日本の書籍版は"火星の人"なので、それで良かったと思う。日本人には"オデッセイ"よりもわかりやすいし。

とてつもなく危機的な状況を科学と笑いで生き残るというテーマが作品全体で一貫していて、飽きることなく観ることができる作品。
火星以外の敵や障害が無く、とにかく明るいと言ったような雰囲気が全体を包むが、細かいところでは長官に心の変化があったり、イモが吹っ飛んだりと適度にアクシデントも存在する。それらの障害により主人公は不安定になる瞬間もみられた。しかしそれでも生き残るため、帰るために空元気でもジョークや笑いを生み出すという精神の強さに感動したし、それこそが物語の本質だ。
個人的には、中盤の冷静に考えるために一回バンの中で癇癪を起こしておくというシーンがとても理性的で好き。

演出もいちいち巧み。例えば状況を記録するシーンでは、複雑な状況をもろに主人公に説明させるけど、記録という形なので説明的でも違和感を感じない。『ハウス・オブ・カード』とかも似た手法である。

劇中の1シーンで、ヘルメスと呼ばれる宇宙ステーション内でクルーが弧を描いたフロアでジョギングをしているシーンがあることからも、この映画が"2001年宇宙の旅"を意識している事が感じられる。
宇宙はスターチャイルドや神に掌握なんてされてねえ!俺たち人間様は科学の力と笑いの力で宇宙の神秘とやらにも打ち勝てるんだ!!神なんかF○○kだ!という痛烈なメッセージを訴えているように思えた。
リドリー・スコットは割とこのパターンが多く、「信じられるのは神や運ではなく、自分と事実のみだ」という考えを強く受ける。

ガーディアン・オブ・ギャラクシーの時も思ったけど、SFに7,80年代音楽はセンスが凄まじい。本当によく合う。頭の中にHot stuffが鳴り響く。
火星の景観も美しく、ミニチュアぽかったけど遠景から映される車とかのシーンが綺麗だった。この辺は地上波だとわかりづらかったけど、記録によると僕は2016/2/22に劇場で観ているようだ。
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