一人旅

運命の瞬間/そしてエイズは蔓延したの一人旅のレビュー・感想・評価

4.0
ロジャー・スポティスウッド監督作。

アメリカのジャーナリスト:ランディー・シュルツによるピューリッツァー賞受賞のノンフィクションをカナダの名匠ロジャー・スポティスウッドが映像化したTV映画で、未知の感染症の解明に挑む科学者たちの奮闘を描きます。

AIDSの流行初期・1980年代における、アメリカやフランスの科学者たちによる病原体解明のための奮闘を描いた実録ドラマです。同性愛者が次々に感染し、治療法もなく命を落としている未曾有の事態を受けて、アメリカ疾病対策センター(CDC)やフランスのパスツール研究所の科学者たちが、感染者たちの感染経路を地道に調べ上げ、感染の原因と病原体の正体を突き止めていくという骨太なサスペンスドラマとなっています。

HIV/AIDSを題材とした映画には『野性の夜に』(1992)や『フィラデルフィア』(1993)、『ダラス・バイヤーズクラブ』(2013)、『BPM ビート・パー・ミニット』(2017)など名作・秀作揃いですが、本作は感染当事者ではなく、正体不明の未知の感染症の解明に挑むアメリカ国内外の科学者たちの視点で描いているのが出色の出来ですし、HIVの第一発見者という名誉の地位を巡る科学者同士の対立も興味深く描き込まれています。

そして、主演のマシュー・モディーンが病原体解明に挑むCDCの科学者を力演していますし、リチャード・ギア、リリー・トムリン、ナタリー・バイ、アラン・アルダ、イアン・マッケラン、リチャード・ジェンキンス、スティーヴ・マーティン、アンジェリカ・ヒューストン、チェッキー・カリョら実力派同士の硬派な演技合戦も見物となっています。
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