ミリアム・ホプキンスが出てるので観た。小津監督が撮りそうなプロットだなと思ったら小津監督が「感動した作品」で影響を受けたらしい。ホプキンスはやはり素敵だ。あの三白眼でよく変わる表情と広いおでこと金髪は華がある。ニューヨークから祖父の住む農場を訪ねてきた孫娘で洗練されているが、ルビッチ作品と違い徹頭徹尾善人の役。乗馬ズボンにTシャツを合わせててマーロン・ブランドより早い。ライオネル・バリモア演ずる祖父と一緒に煙草を吸う様子などは小津監督『淑女は何を忘れたか』の斎藤達雄と桑野通子を思い出した。不倫するけどプラトニック、相手の奥さんもとても善い人でヘイズコード前夜の表現が垣間見れる。なんとなくのんびりと話が進行していきキング・ヴィダー作品とは俄かに信じがたく、この訥々とした演出も小津監督は意識したのかも。バリモアが「紙くずだ」と言ってシリアルボウルを持って外へ出て鶏へぶちまけるところが長回しワンカット。