ベッカムの右足

パレードへようこそのベッカムの右足のレビュー・感想・評価

パレードへようこそ(2014年製作の映画)
4.8
サッチャー政権下の1984年から1985年にかけて、炭鉱の大幅な合理化案に反対する全国炭鉱組合による大規模なストライキが行われた、英国内の炭鉱夫達が国と戦うという当時のこのビックニュースに1つの団体が炭鉱夫達の支援に立ち上がるその団体名とはLGSM。
レズビアンズ・アンド・ゲイズ・サポート・ザ・マイナーズ、そう同性愛者達の団体なのだ。
もともと英国の炭鉱労組(NUM)は国内最大級の組合だった、屈強な炭鉱夫達の団体にマイノリティ達が支援を名乗りでる。
炭鉱夫達も最初は異物を見るように理解をするのに時間がかかるも、LGSMの直向きな姿勢とポジティブで今を輝くように生き抜いている彼らの言動に次第に心を開いていく。

ファッションも良い。
84年といえばパンクの女王ヴィヴィアンが長年パートナーだったマルコムマクラレーンから独立し、その黄金期の足掛かりとなる代表的なデザイン、オーブを作り出した年だったり。イギリスファッションとしてもパンクスやモッズ達がまだまだ元気だった頃。ドクターマーチンもチラホラ履いているのが伺える。

役者面ではイギリスのベテラン達が脇をしっかり固めている、ビルナイ、イメルダスタウトンといった英国映画の代名詞の2人が出演。その他にも超世界的スターやメジャーな出演者は欠くも、その後『1917』で主演抜擢されることになるジョージマッケイなど演技力、個性が素晴らしい役者達が揃っている。

実はこの作品は実話が基となっている。
エンディングは涙なしには見れなかった。
イギリスではこの物語のほんの20年前まで同性愛は犯罪として罰せられていた。
今この21世紀ではイギリスで同性婚は認められている、この映画のエンディングのパレードのおよそ30年後だ。
1人1人の行動が、今の未来を、権利を、当たり前の幸せを勝ち取ったのだ。
Pride、誇りある行動がまさに未来への虹の架け橋となったのだと私は思う。
ベッカムの右足

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