杜子春を彷彿とさせる物語でした。
今を生きる事に自信が持てない時、生まれてくるだけで価値が十分にあるという大切な事に気付かせてくれる作品。
明日死ぬかもしれない、という紛れもない事実を受け入れられない自分はなにをする?考えてしまった。
この世は天秤の法則に従って平等に出来ている。繋いでくれた道具を失うことで大切な絆がなくなっていく、大切なものを犠牲にしながら生きる事で死への整理がついてくる。
〝トムさんが一人死んでも世界はなにも変わらないんだね、私が死んだら泣いてくれる人はいるのかな、それともやっぱりこの世界はいつもと変わらない朝を迎えるのかな〟
このフレーズとともに彼女が泣き叫んだ「生きてやる」は、きっと自分の存在価値になんて目もくれない世界への強い憤りだったように感じる。
「猫かわいいな観たいなこの映画」くらいの直観で選んだ作品から、メッセージをもらいました。
佐藤健の演技・美しさと猫の強烈な可愛さによって増された、個人的に壊れ物のような映画だった。