あでゆ

ナイスガイズ!のあでゆのレビュー・感想・評価

ナイスガイズ!(2016年製作の映画)
4.8
1970年代のロサンゼルス。シングルファーザーの私立探偵マーチは腕っ節の強い示談屋ヒーリーに無理やりコンビを組まされ、行方不明になった少女捜しを手伝うハメに。さらにマーチの13歳の娘ホリーも加わり捜査を進めていくが、簡単に終わるはずだったその仕事は、とある映画にまつわる連続不審死事件、さらには国家を揺るがす陰謀へとつながっていく。

観ている間中の多幸感がすごい。まずなんといっても配役が完璧!!ラッセル・クロウもライアン・ゴズリングも他にいないだろうっていうレベルのはまり役だし、とにもかくにも娘役のアンガーリー・ライスの可愛さが無限大。この子の可愛らしいけどちょっとませてる感じのバランスが完璧で、映画の原動力の半分を担っているように思えた。
ライアン・ゴズリングの「キョエーーーーーー」が聞けることも本作の魅力。めちゃめちゃ多い割に退屈しないギャグの数々でとても笑った。

ストーリーは起きている事実だけを並べると、産業に走るとても暗い影の話だが、それらをこのキャラクター力によって明るく、軽快に魅せている。
とはいえ、絞めるときは絞めるバランスが優秀だ。例えば青い男を殺す時や、ラストで黒幕と話す際のやりとりのもやもや感など、ノワールとして核心を突くような無情さをちらつかせるし、キャラクターをちゃんと成長させる。しかし、その後で真面目に暗くなりきらないように配慮されているのも救い。

更にいえば、冒頭の二人の邂逅や、パーティで男二人と娘がバラバラに行動するときなどは、一見おちゃらけているだけのようでそれぞれに極めて複雑な物語が走っている。更にお互いが事実とは異なる認識をすることでお互いにとってちぐはぐな言動をとったりもするのだけど、交通整理力がすごすぎて観る側は全く難しく感じないのがとても素敵。

加えて演出も非常に凝っていて、例えば落ちる鳥とビルの上から落ちてくるアメリアの対比だったり、娘が親の遺伝子を受け継いでるなとよくわかる一連のシーンだったり、「あっチョコレートドリンク飲んでハマったなこいつ」みたいなキャラクターの変化が目に見えてわかるような描写がとてもたまらない。

できることならTVシリーズで末長くみたい作品だった。多分休憩回で、二人がバカンス楽しんでる裏で娘ちゃんが小さな事件一人で解決するけど二人は何も知らないみたいな回があるんだろうな…。
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