NeMo42

おみおくりの作法のNeMo42のレビュー・感想・評価

おみおくりの作法(2013年製作の映画)
4.0
ある貴族が「我が亡き後に洪水よ来たれ」という言葉を遺したそうな。死んだあとのことは自分には関係がないと。
私も同じ印象を抱いている。死んだら、モニターの電源が落ちるようにすべてが消え去ると思っている。諸宗教の言説など慰みにすぎないだろう。
でも合理的を突き詰めすぎると、生きている現在さえも蔑ろにしてしまう。そんなことを、押し付けがましくなく、穏やかに描いた映画だ。
面白いのは、主人公は、私生活はきっちりと合理的に過ごしているのに、不合理なくらい故人に肩入れしているところ。
いけ好かない上司に方は、仕事は合理的にこなせと言いながら、のらりくらりと楽しく生きていそう。
主人公は熱心に調査をすすめるうちに、今まで持ち合わせていなかったイーカゲンさを身に付けていく。
やっぱり人はどこかで、踏み込まずにファジーのままにしておく領域が必要なのだと思った。