藤田嗣治の伝記的映画
前半はフランス時代
後半は日本時代と2つに分けてストーリーを描いてる
藤田嗣治は作品と人となりを軽く知ってるくらいだから
なるほどこんな人だったのかと思うところが多々あった
なにより冒頭の線画を描くシーンから惹き込まれた
もちろん本人ではないけど
画家さんは本当にキレイな線を描くなぁって思った
全編比較的ゆったり淡々と進むので眠くなる人はいると思う
多分僕も夜に見てたら前半は寝てたかもしれない
それにしてもライティングが独特な映画だった
特に日本
ラストの風に吹かれたあとが一番好きなライティング
独特なライティングのせいか全体的に詩的な雰囲気を保ったまま終わった
ストーリーもどこか詩的で、個人の葛藤や戦争の悲惨さ
思うようにいかない人生の悲劇とかそういうドロドロしたものをサラサラになるまで薄めている
内容が薄っぺらいというわけではないけど
淡々とした語り、間のとり方、暗い絵面などがサラリとした印象を与えていると思う
ただ味は濃い
全てのエッセンスを汲み取ることはできなかったので知識を得てからもう一度見ることにする
個人的には後半の日本時代の方が掴まれた
「否応なく時代に翻弄される天才」
強い葛藤とか激情は一切なく
ただただ苦々しい顔をしてフラフラしているだけなのだけど
哀愁はフランス時代よりもずっとあった
不謹慎かもしれないけどどこからか漂う悲哀みたいなものにグッとくるし
なにか伝えてくるものがあると思う
アーティスティックな作品で見終わった直後は高評価にはしにくいけど
きっとスルメみたいな映画になるんだろうなぁという予感がある