燦

ピースオブケイクの燦のネタバレレビュー・内容・結末

ピースオブケイク(2015年製作の映画)
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このレビューはネタバレを含みます

「自分を好きな人なら誰でもよい」という恋愛観を持ってきたふたりが「相手が自分を愛していようがいまいがそのひとでなくてはならない」と思う出逢いを経験し、結ばれるラブストーリー。元彼の幻影と志乃のモノローグが「お互いがお互いを真に特別だと思っている恋愛をしたい」という彼女の願いと葛藤の物語をわかりやすくしている。

植物はおそらく恋愛関係のメタファーで、京ちゃんが志乃のクワズイモを育て続けて生い茂らせたことで、「志乃でなくてはいけない」と京ちゃんが思っているという揺るぎない説得力が生まれているのが面白かった。

風が吹く=恋に落ちる瞬間の鮮烈さを映像からもっと感じたかった。わたしにとって「風が吹く」といえば星野源さんの「折り合い」のMVで、あの作品を監督された三宅唱監督が演出する「風が吹く」瞬間を見てみたいなと思った。それにしても、風が吹くシーンの店長の人懐っこい笑顔は、綾野剛さんの強烈な魅力だよな…と見惚れてしまった。

恋愛映画において「この人でなくてはダメだ」というのを示すために、相手を探し求めて・追いかけて走るという演出が多いなと感じる。互換性ある恋愛を否定するのと不倫や浮気に猛烈なバッシングを浴びせるのとは似ている。
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