あでゆ

脳内ポイズンベリーのあでゆのレビュー・感想・評価

脳内ポイズンベリー(2015年製作の映画)
4.2
携帯小説家の櫻井いちこは、飲み会で同席して以降興味を惹かれる年下の早乙女と偶然再会。声を掛けるか否か、彼女の脳内ではいろいろな役割を持つメンバーが会議を繰り広げ、議長の吉田が取りまとめた結果、早乙女を食事に誘うという結論に。その後交際に至るも、双方の誤解や彼の元恋人の登場などで疲れ果てたいちこは、編集者の越智からもアプローチされる。

間抜けなコメディ映画に見えて、しっかりとしたメッセージを感じる誠実な映画だ。手元の幸せに目がくらんで自分を見失わないこと。自分が欲しいと思っているものと、個人にとって真に必要なものは異なること。それらの教訓を、本作は恋愛という視点を通して伝えてくれる。

そしてそういった結末へと観客を導いてくれるのは、主人公の「脳」だ。本作は大小様々な名優たちが真木よう子の脳内で笑いに富んだ会議を行う。特にポジティブ担当の神木隆之介とネガティヴ担当の吉田羊が素晴らしく、この閉鎖空間で行われる芝居劇を観ているだけで思わず笑いが溢れるほど。逆に言えば、外で行われることは少々退屈なのだが。

とはいえ、外で行われる恋愛要素も結構新しくはあって、そもそも殆どの時間が脳内描写で使われていて、恋愛に使える時間は実質半分くらいしか無いのに、割によくストーリーテリングしてるよなと思う。それにやっぱり最後の結論が新しいし、メッセージが強い。何より自分のようにモテナイ男が救われる結末でもある。シンデレラストーリーとは遠い話のはずだけど、男にとってはある日ふと真木よう子と付き合えるなんてシンデレラストーリーじゃないか。『勝手にふるえてろ』よりもよっぽど納得がいく。

一方で、結構無駄が多いなっていうところも感じて、例えばあの脳内の真木よう子は別にいらなかったなとか、ともさかりえも別にいらないよなとかそういうところは思ったりする。
後は脳内では散々演技力が高いのに、出力機関としての真木よう子の演技が棒なのはもう少し頑張れよ。

あとずっと付き合ってんのに早乙女のこと名字で呼んでるのはなんでなんだろうな。
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