うんこさん

ボヤージュ・オブ・タイムのうんこさんのレビュー・感想・評価

ボヤージュ・オブ・タイム(2016年製作の映画)
4.0
たまに学習ビデオ観てる気になるのが冷めるけど随所にええ感じの放り込んでくれるから割と楽しめた。ラストもけっこう気持ち良かった。
ただちんこは絶対映すべきやったと思う。テレンス・マリックはどっちの考えなのか知らんけどもうあのシーンの3カット目くらいからちんこ映るか映らんかが気になりすぎてしょうがなかった。シンドラーのリストくらいのノリでちんこ映したらそのまま観れたのに撮影も編集も絶妙にちんこ映さんからむっちゃ笑ってまうしもったいない。「ちんこ映してええのはシンドラーのリストとボヤージュ・オブ・タイムだけじゃあ」ってツッコミが机上の空論になってしまってる。
一つの映画でここまでちんこのこと考えたのも初めてやった。むっちゃ頑張ってやばいこと暴こうとしてんのにちんこ隠すんかいってなるから良くないギャップが働く。さんざん神秘的な映像と編集で魅せてたのにあそこまで作為的にちんこ隠すのがマジで考えられへん。例えばこの映画でセックスのシーンがあったとすればそこではちんこ映さなくてもオッケーやけどあのシーンでは絶対ちんこ映さなあかん。新入社員の女の子が入社二ヶ月後に同じ会社の男の先輩とこれ観てまあまあ良かったねって感想話し合ってる中お互いが「でもちんこ映ってなかったよなあ」って言うべきか言わんべきか絶対悩むし仮に言える仲やとしても言えてしまえたらテーマも薄れるからどっちに転んでもマイナスになってしまう。そこでちんこ映ってるディレクターズカット版があるなら世に出すべきやと思いつつもうすでにちんこ映ってない版が開示されてしまっているから歴史的にどうしようもないのが悔やまれる。ちんこ映ってる版だけなら「ちんこ映すんや」っていう事実だけで逆説的にそのあとは何の支障も無くちんこスルーできたと思うしそれが万人に対する認識の限界やとも感じた。そもそもこの作品観る層でちんこ映っててバチギレする観客とかおそらくほぼおらんねんからほんまにそこは振り切って欲しかった。
マグマのシーンとかの気持ち良いグロさと虫とか精子とかの気持ち悪い映像の線引きが上手いけどどのシーンもほんのちょっと多くて冗長に感じてしまう。あと思考の片隅で異星人に向けて作ってるように感じるのが好きやのに変にエンタメ作り過ぎやし浮遊感が旧いところがちょいちょいあるのが歯がゆい。
いっそのことスターウォーズとかデューンを撮って欲しいけどその辺はもうヴィルヌーブとかがいるんやろから多分これからもこういうのを全力で作るしかない気もする。ただただ壮大さを見せつけるのが大事ではなく映像としてもほんとに楽しめる部分が重要なのをバランスが難しいと感じつつ理解してるやろうから個人的に五十嵐さんの魔女とかを映画化するなら絶対観たい。
言葉にすれば五分で終わることでも映画としてがっつり時間かけて体感したいって思わせられる力があるのになんとなく至上命題があるように感じてみんな萎えてしまうんやろからもっと素直にセンスぶつけたやつのが観てみたい。序盤の目とか中盤の横顔のカットとか本気で綺麗に人物撮ってる時の光るセンスのえげつなさはほんまにかっこいいし脚本も難解か浅いかは置いといてこの独特さにはやっぱり味があるからもっと他にも観たいと思える。脚本としてはこのくらいが絶妙なラインやと思うけどちんこ然りいかんせん映像にいらん情報が多いからそっちを削ぎ落とした方が作品への理解も深まるはず。映像として純粋に扱うには雄大すぎるからこそ浅くなりがちで扱いきれないであろうテーマをどうしても映像化したいって気持ちはこのレベルの監督でもある種勇気のいることで馬鹿にしたらかわいそうやしもうちょっと心の間口を拡げてあげるのが大切。かといって手放しに褒めそやすのはクソやと思うし残念ながら本作には何かしら苦言を呈したくなる人の方が多いと思う。ただそれでも好きだって言う人がいることが何よりも素敵なこと。
結局本作に関しては小津とかベルイマンとかキューブリックが垣間見えてしまうから誰にも需要無いように思えて悲しい。このアプローチなら今や至極一般的に鑑みるとノーランらに軍配が上がってしまうのも余裕で頷けるけどこれで楽しんでくれるかなってワクワクしてるテレンス・マリックを想像すると狂おしいほど愛しくて楽しかったよと言ってしまう俺でした。
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