蛇々舞

セッションの蛇々舞のレビュー・感想・評価

セッション(2014年製作の映画)
4.0
友人がレビューを書いていたので。

ララランドを観た後に、同じ監督作品なので鑑賞した。

ズバリ男の物語。
というか、音楽的スポ根の皮を被ったクライム・アクションだったりする。
無法者の映画。
ワイルド・バンチとか、そんな感じの。

主人公は当初、日の当たる教室で音楽のレッスンを受けている。
童貞だが、恋のステップを進んで彼女を作ったりと、普通の人生を歩んでいるわけだ。

しかし、エリートクラスに抜擢され、地下空間に押し込められてから様相は一変する。

ますますドラムに打ち込み、その時間の確保のために彼女と別れさえする。

練習の前後に挿入される街のスモッグや、蛍光色のライトなどの不穏な描写は、麻薬の煙や、ならず者が集うバーを思わせる。

音楽に没頭する主人公は、やがて恋人を捨てることで、男性的な強さの意味を、肉体的なそれから、銃が象徴するような暴力へと取り替えていくのだ。
彼が拳銃の代わりに手に取るのはドラムのスティックであり、飛び散る血は銃撃の、あるいはそれで男性的に高みへ上る、射精のメタファーなのである。
そして彼を苦しめる鬼講師は、裏社会 に君臨するドンなのだ。

果たして主人公は、真っ当な道に背を向け、ならず者の道に生きることを決める。
そんな風に、主人公が社会人生活でなく芸術=ジャズに生きることを選択する様が描かれるというわけだ。

殺し殺されたりは一切無い、ただただ音楽に打ち込む話。

だのに、この緊迫感と血なまぐささは何事だろう?

やはり、これは男の生き方の話であるのだ。
凄まじいまでに、格好良い。
蛇々舞

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