Akiyoshi

セッションのAkiyoshiのレビュー・感想・評価

セッション(2014年製作の映画)
4.5
未だにラ・ラ・ランドが消化不良すぎてこの映画に頼ってしまった。個人的どんでん返しのラストへ向かっていく過程と、溜まりに溜まった感情のぶつけ合いが最高にクールだ。どうしてラ・ラ・ランドでそれができなかったと怒りたい。JKシモンズ演じるフレッチャーばりに怒りたい。

ジャズなんぞ興味もまんざらねーよ。という人や、ジャズ大好き!な人たちや楽器経験者であろうが、本作品は映画である限り、ジャズや楽器の上手い下手は関係がない。全てを否定する訳では無いが、フィクションである限り、ピンポイントで捉えるとするならば人間ドラマこそが光るべきであってジャズや楽器はそれを輝かせるためのものでしかないと思う。

本作品セッションは、そこがすごい。感情を音楽に流し込み、セリフなぞ不要。そういうステージを大迫力で私たちにぶつける。主人公アンドリュー・ニーマンと、教師のテレンス・フレッチャーの感情を表に出した意地のぶつかり合いが私たちにぶつかるまさに玉突き事故である。次々に後続車がぶつかってくる。

本作品の終わり方について自分の気持ちが追いつかず、どうしたらいいかわからなくなったのを覚えている。それほどまでにセッションの世界に自己投影し、のめり込んだ衝撃を私は忘れることができない。

とレビュー書いた後に監督のインタビューを見た。
監督曰く、「僕がイメージしていたエンディングと、実際スクリーンで映されたエンディングが違うもののように感じたんだ。多分思い描いていた時点では、まだ音楽そのものが影響してこなかったから。最後のシーンを見た人はその結末に対してちょっと嫌な気持ちになるかもしれない。でも同時に混乱させるような疑問も残すことができたらいいなと願っている。」と語る。

また、JKシモンズ曰く「チャゼル(監督)が言いたいのは、つまり、映画を観ただけでただ結論づけないようにしてほしいということ。アンドリュー・ネイマンの辿った結末について満足しているのか、それとも喪失感を覚えているのかということを考えてほしいということなんだ。」ということだ。

まったく私は監督の意図した仕掛けに引っかかったわけだ。素晴らしい監督である。

デイミアン・チャゼル、グッジョブだ。
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