だぼく

セッションのだぼくのレビュー・感想・評価

セッション(2014年製作の映画)
5.0
今までで一番、感じたことを言語化しにくい映画。
勿論「おもしろい」なんて言葉じゃ到底足りない。心臓を握り締められているような、そんな感覚がずっと続いていた。見ていて苦しいのに、目が離せない。離したくない。この映画が持つ力に強く強く惹きつけられていた。

狂気に殴られ、命を削りながらも立ち向かっていくドラマー、アンドリュー。彼を突き動かしたのは単なる承認欲求や矜持なのだろうか。異常と言えるまでの執着を見せ、最後まで戦い抜いた彼にもまた、ある種の狂気が入り混じっているように思えた。

人格や遺恨、周りの人間、過去も未来も全て取り除いた「今」というこの時に2人の音楽家の心が通じ合い、魂による「セッション」が行われる。その圧倒的な熱量に心が震わされ、思わず涙してしまった。こんな種類の感動が存在するのか。味わったことのない感動であった。
鑑賞後も、静かに燃えるような熱い余韻が続いた。

この映画に対して否定的な意見も多々あるようだが、私にとっては最高の作品の一つとなった。この映画の製作に携わった方々には、敢えてこの言葉を送りたい。“Good job.”と。
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