2時間後のていら

セッションの2時間後のていらのレビュー・感想・評価

セッション(2014年製作の映画)
4.6
これはJAZZ版フルメタルジャケット…!
もしもハートマン軍曹が転生したなら?
もしも微笑みデブが自殺しないで食らいついてきたなら?

多彩なボキャブラリーで罵られまくる107分。陰険で内弁慶な分ハートマン軍曹よりタチが悪い。
冴えない主人公もどんどんヤバげな目付きでドラマーの怨霊に取り憑かれたようになっていく。
血の滲むような努力とは言うけど、まさか本当に血濡れになるドラム。
観ている側もずっとJKシモンズの顔色伺いながら極度の緊張を強いられる。
怖い!怖いよ!ホラーかよ!悪夢だよ!
なのに圧巻の最後には、痺れたようにしばらく立てなくなる。

フレッチャーは間違いなくサイコパスのクソ野郎で私が親なら絶対子供を近づけたくないけど、最後で全部すっ飛んで「ブラボー、おおブラボー…!」とか泣きながら言いたくなっちゃうの、ホントズルいと思う(笑)
これは音楽の映画というよりは、道を極めようとする者の「狂気と執着」の物語。
音楽、ジャズはあくまでその為の道具なのかも。

しかしあれだね、度を越えて壮絶だと人間思わず笑ってしまうものだね。家で見てたら声出して爆笑してしまったかもしれない。事故後のシーンでずっとクスクスしちゃってゴメンナサイね…。だってコントじゃん…。

ちなみにTCXラージスクリーン&ドルビーアトモスで観ました。
視界全体に広がるスクリーンで迫るフレッチャーの青スジ。
天井にまで設置されたスピーカーから響く
「ファッキンテンポぅッッ!!!!!!」
最高。ああ、疲れた。