たぴり

セッションのたぴりのレビュー・感想・評価

セッション(2014年製作の映画)
4.5
私はくだらないことを大真面目にやっている人を見るのが好きだ。突き抜けた人からその人にしか見えない世界を語られるのが好きだ。外の人間からはうかがい知れない小さな世界。その小宇宙に心血をそそぐ人達に、ある種の共感と羨ましさを覚える。

やり方が汚い、ナンセンスだ、狂ってる。そんな外野からのヤジはどうでもいい。だって、そいつらは自分ほど何かに心血を注いだことなど無いのだからーーそんな言葉が主人公から聞こえて来そうだ。

映画はジャズという枠の中で、そんな主人公の世界観が語られている。しかも全シーンにおいて、彼の主張は語られ続けるのである。その緊迫感は尋常ではない。最も最初はおぼこい顔をしたイチwannabeだった彼が、鬼教官の毒気の元にその芽を芽吹かせ、みるみる育て上げていくわけだが。

最後にはそのツタが一気に増幅して鬼教官を捉える。音楽性云々ではなく、その気迫に撃たれる映画。

※ジャズがくだらないとか言ってる訳ではありません。念のため。
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