寄り道わき道

暮れ逢いの寄り道わき道のレビュー・感想・評価

暮れ逢い(2013年製作の映画)
3.6
辛い映画ってことは知っていたので今までビビって見てませんでしたが、やっとこさ見ました。

歳をとった事業家のお金持ちアラン。有能で若い青年が彼の個人秘書になり、そしてアランの若妻と秘密の恋に落ちていく…。
フランスの名匠パトリス・ルコント監督が描いたこの作品、官能的で美しいのかもしれないが謎のねっとり感、生々しさがあってとてもしんどい。この生々しさは誰かが目撃したような視点で撮ってるから?そう思うと監督の描き方は見事かもしれません。男女の心の機微を繊細にリアルにフィルムに落とし込んでいます。しかしピアノの匂いを嗅いだりうなじをじっとり映したり、変態っぷりがあるのはこの監督だからでしょうか…?

しかし本作は不倫映画、しかもされる側がアランなので辛い。特に「私を愛した以上に彼を愛したのだろう」って台詞!辛すぎて胸が張り裂けそうになるためアランファンにはオススメしません。しかしとてもジェントルで素敵なアランリックマンが見れることは間違いありません。この役柄の魅力的なことと言ったら!大人の落ち着き、そしてウィットさ。また奥さんのことをとても愛してるのだとわかる目の演技が素晴らしく…嫉妬心を上手く心の奥に押し込んだ表情や声色も圧巻でした。アランの演技力と彼の柔らかな雰囲気が相まって映画の美しさを増してるのでしょう。しかしまぁ、辛い。夫がわからんようにやってくれよせめて!やってられない。奥さんもアレですが、この青年!生真面目でピュアな秀才と思いきや全然で…純愛とは言えません。
しかもアラン氏の役柄持病を抱えててそこもリアルで…彼自身の病気のことも思うと辛すぎました。

主観的な感想で言えばうんこな映画です。アランは最高。アラン推しでなければ、まぁまぁな感想になったと思います。

この作品はアマプラ配信あり、日本語版DVDもあります。