みきてー

百日紅 Miss HOKUSAIのみきてーのレビュー・感想・評価

百日紅 Miss HOKUSAI(2014年製作の映画)
3.3
絵を描くことは「私は世界をこのように見ています」という観念の表明だと思う。彼女の栄枯盛衰ではなく観念の話だったので、分かりやすい起承転結に乏しいのは惜しいところであるが、誠実に絵描きに向き合った映画であり原監督が撮る意義を見出した理由にも納得いくものがある。

お栄さんが妹の手を水に付けたり、おこしを手ずから食べさせたりするのも世界を伝える手段のひとつ。自分だけでは感じられない世界の広がりに、人は初めて心を動かされる。そういった意味では盲目の妹も「見ている」のである。天体観測よろしく最初から最後まで「見えないものを見ようとする」物語であり、それを見えないものの象徴であるあやかし達がそっと支えていて心温まる。
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