ノラネコの呑んで観るシネマ

百日紅 Miss HOKUSAIのノラネコの呑んで観るシネマのレビュー・感想・評価

百日紅 Miss HOKUSAI(2014年製作の映画)
4.3
葛飾北斎の代筆をしている娘のお栄が、独自の画風を持つ絵師、葛飾応為となるまでの青春ストーリー。
現存する応為の絵はまるで西洋画の様で、同時代の他の浮世絵とはかなり違う。
才能の塊の様な彼女は、恋や挫折や喪失を知り、少しずつ自分の世界観を見出してゆく。
実在の女性とはいえ殆ど記録が残って無いから、杉浦日向子の原作はフィクションなんだろうな。
基本的には切符の良い江戸っ子お栄の日常の話で、特にダイナミックなプロットは無いが、四季を通じた庶民の江戸暮らしは観ていてなかなか楽しい。
面白いのが絵師の心眼、お栄と北斎にだけ見える常識の向こう、というか世界の本質が、大江戸トワイライトゾーンみたいに描かれてる事。
原恵一監督としては、割と肩の力が抜けた感じの作品だけど、持ち味はよく出てると思う。
犬ちゃん可愛い。